頭皮のかゆみで悩まされている人は多いのではないでしょうか。それは脂漏性皮膚炎が原因であるかもしれません。ここでは脂漏性皮膚炎の原因とその治療方法について紹介してきたいと思います。

脂漏性皮膚炎の原因

脂漏性皮膚炎は名前からも想像できるかと思いますが、皮脂の過剰分泌によって生じる炎症です。
皮脂は身体の至る所から分泌されるため、どの部位でも発症する可能性がありますが、特に頭皮で発症するケースが多い症状です。

脂漏性皮膚炎の根本的な原因はマラセチア菌と呼ばれる真菌の繁殖です。マラセチア菌は皮脂をエサに繁殖を繰り返すため、皮脂の過剰分泌によって増殖しやすい環境となります。

軽度の脂漏性皮膚炎は市販薬で治療可能

脂漏性皮膚炎は軽度の症状であれば市販薬で一定の効果を期待することができます。市販薬に関してはいくつかの種類がありますので、ここでは紹介していきます。

○外用ステロイド

外用ステロイドは脂漏性皮膚炎を始めとした皮膚炎全般に効果のある外用薬です。

ステロイドは生体の免疫反応による炎症を抑制する効果があります。脂漏性皮膚炎によるかゆみを速やかに抑制することができますが、効果は一時的なものとなります。

しかし、炎症のかゆみから爪で掻きむしってしまうと頭皮環境がさらに悪化する危険性もあるため、外用ステロイドで症状を緩和することで一定の効果を期待することができます。

○抗真菌剤を含むシャンプー

脂漏性皮膚炎はシャンプーによっても改善することが可能となります。

このようなシャンプーは脂漏性皮膚炎の原因となる真菌の繁殖を抑制し、頭皮環境を整えるため、脂漏性皮膚炎を速やかに改善することができます。

○ビタミン製剤

脂漏性皮膚炎は皮脂の過剰分泌が原因となります。
ビタミンBは皮脂の分泌量を正常に保つ効果があり、ビタミン製剤は脂漏性皮膚炎を改善する効果があります。
重度の脂漏性皮膚炎には効果がありませんが、日頃のケアなどでも有効な手段です。

市販薬の効果は処方薬と比較して弱めとなっています。そのため、重度の脂漏性皮膚炎に対しては効果が及ばない可能性もあります。効果が実感できなかった場合は、すぐに皮膚科へ相談するようにしましょう。

脂漏性皮膚炎の原因菌は抗真菌薬が効果的

脂漏性皮膚炎の原因は真菌の繁殖です。そのため、症状を改善するためには真菌の繁殖を抑制する必要があります。

その手段として抗真菌薬は非常に高い効果を発揮します。

ケトコナゾール、イトラコナゾール、ミコナゾールなどのイミダゾール系抗真菌薬は脂漏性皮膚炎の原因菌となるマラセチア菌に対して有効となります。

漢方薬にも脂漏性皮膚炎への一定の効果がある

脂漏性皮膚炎は漢方によっても一定の効果を発揮すると言われています。それは脂漏性皮膚炎の原因が生活習慣の乱れやビタミン不足によるものとされているためです。漢方は薬と比較して効果の緩さや副作用の少なさが特徴となっていて、安心して使用することができると思います。

脂漏性皮膚炎に効く漢方の例として、以下のものを挙げることができます。

○十味敗毒湯（じゅうみはいどくとう）

十味敗毒湯は肌の湿疹などを改善するために利用される漢方です。

肌を塞ぐ余分なものを排出すると共に、水（すい）や熱を発散し、肌を正常化させるとされています。

化膿性の皮膚疾患やアレルギー症状においても使用される漢方です。

○荊芥連翹湯（けいがいれんぎょうとう）

身体に溜まった水の排泄を促進させる漢方です。
鼻づまりやにきびなどにも効果があるとされていて、副作用のリスクがない分、安心して使用することができます。

○黄連解毒湯（おうれんげどくとう）

肌に炎症があり、赤くなりやすい人や口内炎の症状改善に使用される漢方です。
余分な熱は炎症を引き起こすとされていて、黄連解毒湯は身体を冷やして熱を除去することにより、炎症を収める効果があるとされます。

症状が進行すると市販薬では対処できないケースもある

市販薬や漢方によって脂漏性皮膚炎を解消できる可能性がありますが、それはあくまで初期症状に限ります。市販薬はどうしても副作用のリスクが小さい分、効果も小さく、重度の脂漏性皮膚炎には全く効果がないケースもあります。

このような場合は、自分一人で改善しようとせず、医師に相談することが必要となります。医師の処方を受ければ、より効果の高い薬を手にすることができます。

また、脂漏性皮膚炎は生活習慣の悪化によって引き起こされるケースが多くなります。薬による治療を行うとともに、自身の生活習慣を見直すことも必要となります。

ここまで脂漏性皮膚炎に関して紹介してきましたが、きちんとした対処を行えば症状は改善されるはずです。頭皮のかゆみや湿疹が気になりだしたら、それは頭皮環境が悪化している証拠です。少しでも悩みを抱えたらすぐに対処できるようにしておきましょう。